停電
大変大きな嵐『Ciaran』が、大きな被害を及ぼしながらイギリス海峡を駆け抜けていった
私たちが住む海沿いの町では11月1日の午後から風が強くなって、夜には暴風雨になり、
夜、寝ている間に屋根が飛んでなくなっていたなんてことがないと良いな…
と思いながら眠ったのだが、翌朝5時半に停電
電気だけでなく、電話、インターネットの接続も失って、11月2日(木)の朝、私たちは完全に世界から隔離された
でも、これまでの停電の経験から、必要なものは揃えてあるから大丈夫
すぐにろうそく(アロマのだけど)とポータブルライト(電池の)をつけて部屋の明かりを確保し、暖炉に火を入れ、ラジオをローカル局に合わせる
天気予報的には『警報レベル』で、パーソナリティの声には緊迫感があり、「外には出ないように、ラジオを聞いていてください」が繰り返される

もしかしたら停電になるかもしれないと思って、前日にスープを作っておいたので、ポータブルのコンロで温めてそれをお昼ごはんにする

前日(11月1日)が祭日で、洋梨のタルトを焼いたので、こんな状況でもデザートがあるという・・・

テオは寒かったみたいで、暖炉の前にいることが多かった
テオとOMATA倶楽部をしながら、私もうとうとする時間があった
雨戸を開けることができなかったので、オレンジ色の明かりがほんのりと暖かい雰囲気を醸し出す
ラジオに耳を傾けると、私たちが住む地域では 12万5000 軒が停電になっているという
復旧には時間がかかるかもしれないと覚悟する
夜には風は弱くなってきたのがわかって安堵したけど、ブルターニュ地方の先端部分では最大風速 207km/h を記録し、私たちが住むノルマンディの海沿いでは 155km/h だったのだそうだ
外の状況がわからないので、このまま何事もなく治まってくれたら良いなと思う
電気がない暮らしは本当に真っ暗で、こんな時になんだけど、ろうそくの灯りひとつで暮らした昔の画家や作家たちを想った

2日目は晴れた
日の出の時間が近づいてお外が明るくなる頃、テオとお散歩に出る

前日にお散歩ができなかったので、テオはまた楽しそうに砂浜を走っていた

家の敷地内も歩いてみたけど、我が家では松の木の枝がいくつか折れていただけだったし、ご近所さんも被害がなかったようでホッとする

日中は青空が広がった
テオはテラスに出ると、海を眺めたり、走ったりしてた
相変わらず世界から隔離されたままだけど、青空が見えると気持ちも少し明るくなる
電気はもちろん、電話やネットがないことが大変不便で、これらは今やライフラインだな・・・と思う
ラジオの声は2日目になると少し他人事のような調子になり、停電の原因やその復旧の進行状況(今、どの辺りに取りかかってるとか)などを知らせることはなく、「何かあったら、電話番号やFacebookに連絡をください」と言った
どちらも使えない人はどうしたら良いのでしょうか・・・

3日目には2つ目の嵐『Domingos』が来る
これはフランスの南部を進路としてたのでノルマンディ地方は渦の外側だったけど、それでも風速 85km/h で雨も激しく吹きつけるので、再び雨戸を閉めたままの日となった

テオは暖炉部
我が家は暖炉のおかげで暖をとれるけど、停電で暖房が無くて寒さの中、過ごしている人もいるのだろうか・・・と心配をする
3日目になると、被害の状況が少し分かってきて、ラジオのインタビューに答える人たちの声も聞こえると、広範囲で断水している地域があることがわかる
中には家の屋根が壊れて、家の中は浸水をしているし、電気も電話もネットもないから保険屋さんと連絡を取る手段もなく、どうしたら良いのかわからない・・・という人もいた
電気の復旧はあまり進んでいるように思えなくて、まだ6万8000世帯が停電のままだった
私たちもその1世帯である
驚いたのは、この嵐 Ciaran のせいで、イギリス海峡沿いを中心にブルターニュとノルマンディ地方では約 1億2000万世帯が停電していた

お茶の時間には、コーヒーをフランスの昔の方法で淹れてみる
こんな時だからできること(これしか手段がないというのもあるけど)をやってみようと思ったのだ

テオ : 「OMATA倶楽部でテオが一緒にいてくれるとあたたかいね・・・って言われるの」
停電の間、テオと一緒にソファにいる時間が増えた
これがテオの『新しい日課』となって定着しそうだな・・・

4日目
夜中に復旧してると良いな・・・という期待は今朝もまた裏切られる
日曜日だからフランス人は働かないのかな・・・と失礼なことを考える
電力会社の人がラジオで、全復旧は水曜日頃になると言ってたから、この辺りは本当に水曜日までダメかもしれないと思っていた方が良いかもしれない
それで、少し離れた町のスーパーは開いていると知って、買い出しに行く
その途中、隣村に明かりが灯っているのが見えた
こんな近くまで復旧しているなら、我が家に電気が通るのもそう遠くないかもしれないと少し上向きな気持ちになる

テオのごはんにお魚かぼちゃを作って、

私たちはチーズフォンデュにした
コロナ以降、家にこもっている時の定番みたいなお料理になってるけど、実際、スーパーのラクレットの棚は空だったから、よそのお宅でも簡単に準備ができて温まることができるチーズのお料理にしたと思われる
幸い、日曜日の夕方に電気が復旧し、私たちは4日ぶりにまた世界と繋がり、あたたかな暮らしに戻った
悪天候の中、昼夜復旧作業に従事してくれた人々には感謝。
でも、私たちが住む地域ではまだ 1万3000世帯が停電のままである
被害がもっと大きかった町では、そういう人たちのために、お昼にあたたかいコーヒーとシャワーを用意したところもあるのだそう
その全世帯に一刻も早く復旧することを祈る

テオとOMATA倶楽部をしている間、私は本を読んだ
日本語の本は再読
『お探し物は図書室まで』はニートの人のお話が好きで、ネタバレだけど、読む度に「ケンシローかよ!」のところは声を出して笑っちゃったし、お母さんが花束に顔を埋めるところは一緒に泣いちゃうし、コンテストで是非、評価されてほしいなーと応援したくなるのだった
こういう時はほっこり気持ちが温かくなるお話が良いね
ブログを更新をしてないことでご心配をおかけしましたが、その間、こういう更新が困難な状況下にいました
私たちは元気です
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